北里琉「誰かの心に響くお芝居がしたい」――『GTO』石橋心愛役で向き合った“自信のなさ”と、女優として歩み続ける理由をインタビュー。

©藤沢とおる/講談社/カンテレ

ドラマ『GTO』で石橋心愛役を演じ、注目を集めている北里琉。

現在出演中の『GTO』は、藤沢とおるによる同名漫画を原作とし、1998年に反町隆史主演で実写ドラマ化された人気作を、新たなキャストで描く作品。かつて伝説の教師として名を馳せた鬼塚英吉が、再び高校教師として生徒たちと向き合い、彼らが抱える悩みや問題に真正面からぶつかっていく。

母親が好きだったことをきっかけに、幼い頃から『GTO』をDVDで観ていたという彼女にとって、同作はもともと身近な作品だった。さらに、石橋心愛という、自身とは異なる価値観を持つ役柄と向き合う中で、北里はこれまでに経験したことのない役作りにも挑戦したという。

普段なら決して口にしない言葉をあえて日常の中で繰り返す。役の感情を私生活にまで持ち込んだのは、今回が初めてだったという。

その背景には、幼い頃に経験した熊本地震で目にした光景、「誰かに勇気や元気、希望を与えられる人になりたい」という芸能界を目指す原点、そして一度は「自分は芝居に向いていないのかもしれない」と思い、芝居を辞めようとした過去がある。

モデルとしても活動しながら、俳優として新たな一歩を踏み出している北里琉。『GTO』での役作りから、これまでの歩み、そして「誰かの心に残る、響く芝居」を目指す現在地まで、じっくりと話を聞いた。

©藤沢とおる/講談社/カンテレ

「私とは違う」石橋心愛という役

――まず、『GTO』という作品について、出演が決まる前はどのような印象を持っていましたか?

北里琉(以下、北里):母が『GTO』が好きだったので、家にDVDがあって、子どもの頃から昔の作品を観ていました。さらに、事務所の先輩である岡崎紗絵さんがリバイバルで活躍されていたこともあって、以前から『GTO』という作品には馴染みがありました。

私にとっては、本当に「伝説の学園もの」というイメージで、これまでにも有名な学園ものはたくさんあると思うんですけど、その中でもトップクラスに有名な作品だと思っていました。

――そんな作品への出演が決まった時は、どんな気持ちでしたか?

北里:出演が決まった時に、顔合わせをしたんですけど、昔から作品に出ている子や、私が知っている子たちもいて。「このみんなの中に私が混ざって大丈夫なのかな」という不安はありました。

――実際に台本を読んで、石橋心愛という役にはどんな印象を持ちましたか?

北里:私と違う部分も多い役だったので、「この子はどういう気持ちで、こう考えているんだろう」と役に落とし込むまでがすごく大変でした。

心愛は、自分の容姿にコンプレックスを持っていて、整形をしたいと思っている女の子です。整形費を貯めるために、という考えもあります。私自身も「ここがこうだったらよかったな」とか、「こういうパーツの方が可愛いな」と思うことはもちろんありますけど、「整形したい、そのために自分を売る」というところまでは、普段の自分の考えではなかなかならないので、「どう演じようかな」と思いました。

逆に、似ている部分だと、心愛は、スクールカースト上位の女の子にすごく気を使ったり、「あの子みたいだったらよかったな」と思ったりするのですが、そういう気持ちは私にもあります。誰かを見て羨ましく思ったり、「自分もこうだったら」と思ったりするところは、心愛と似ているのかなと思います。

©藤沢とおる/講談社/カンテレ

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「私なんて可愛くない」――役の“自信のなさ”を私生活で体感

――自分とは違う部分を演じるために、どのように向き合ったのでしょうか?

北里:台本をいただいてから撮影期間中は、本当に「いや、私なんて可愛くないんで……」という気持ちを常に自分の中心に置いて、私生活を送ってみました。

――役の感情を私生活にまで持ち込んでいたんですね。

北里:そうですね。普段の私は、可愛いと言われたら「ありがとう、嬉しい」と返すんですけど、あえて「そんなことないよ」とか、「やめてください」と言うようにしていました。そうやってどんどん口に出していくと、本当に少しずつ自信がなくなっていくんだなって、今回、それを自分自身で実感しました。その時に、「心愛って、多分こうやって生きてきたから自分に自信がなくて、周りの人が可愛く見えて、自分を売ってまで容姿を変えたいと思うんだな」と気づいたんです。

――私生活にまで芝居を持ち込んだのは、今回が初めてですか?

北里:はい、今回が初めてです。どうしても役柄を掴みきれなかったのと、心愛にとって「自分の容姿にコンプレックスを持っていて、自信がない」という部分は、大前提であり、一番大事な土台だったので、そこは自分の中でもしっかり掴みたかったんです。だから今回は初めて、私生活にまで演技を持ち込むスタイルで役と向き合いました。

©藤沢とおる/講談社/カンテレ

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熊本地震で見た、芸能人の姿――「誰かに勇気や元気、希望を与えたい」

――北里さん自身のこれまでの歩みについても伺いたいと思います。芸能界に入ったきっかけを教えてください。

北里:芸能界に入ったきっかけだけでいうと、母がInstagramに私の写真を投稿していて、それを見た今の事務所の代表の方がスカウトしてくださったことです。そこから事務所に入り、芸能活動をスタートしました。ただ、芸能界を目指したきっかけは別にあって。私が小学校1年生の時に熊本地震に遭ったんです。その時、周りの大人たちが「今後どうしよう」とすごく落ち込んでいるのを、小学生ながらに感じていました。私自身も「どうしよう、どうしよう」と思っていたんですけど、そんな時に芸能人の方々が炊き出しに来てくださって。すると、それを見た人たちから歓声が湧いたり、「ありがとうございます」と声をかけたりしていて、さっきまで落ち込んでいた大人の方々が一気に明るくなっていったんです。それを肌で感じて、「誰かに勇気だったり、元気だったり、希望を与えられる人間になりたい」と思ったのが、芸能界を目指したきっかけです。

――熊本から東京へ活動の拠点を移したことで、仕事への向き合い方に変化はありましたか?

北里:実家にいる頃は、台本の練習を母親の前でするのがすごく恥ずかしくて「私、何もしなくてもできるから」みたいに、ちょっと思ってしまうところもあったんです。だから家でも、どうしてもコソコソ練習していて、大声で練習する機会もあまりありませんでした。

でも、一人暮らしを始めてからは練習する時間が増えて、周りの目も気にしなくなったので、自分と向き合う時間がすごく増えました。一つの仕事に対して集中して、しっかりフォーカスする時間が増えたことで、仕事に対する熱量が大きく変わったかなと思います。

「向いていないのかもしれない」一度は本気で芝居を辞めようとした

――これまでの活動の中で、「この経験があったから今の自分がいる」と思えるターニングポイントはありますか?

北里:「僕達はまだその星の校則を知らない」の出演がターニングポイントだと思います。実は、大好きだった漫画の実写化のオーディションを受けて、落ちてしまったことで、お芝居を、本気で辞めようと思ったことがあります。その後も、お芝居自体は続けていたんですけど、ずっと自信がなかったんです。でも、「僕達はまだその星の校則を知らない」に出演した時に、監督の方や共演者の方々にお褒めの言葉をいただけて。その時に初めて、ちょっとだけ自信を持てました。その経験があって、「本当にお芝居を頑張ろう」と思えて今に続いています。自分のお芝居によって誰かの感情が動いたことを実感できた時は、やっぱり嬉しいですね。

――現在はRayの専属モデルとしても活動されています。モデルを始めた頃と比べて、「見せ方」に対する考え方は変わりましたか?

北里:最初は、「服をきれいに見せよう」ということを一番に考えていました。もちろん、それは前提としてあるんですけど、本人が可愛くないと服ってよく見えないよな、とも思うようになって。「この服が可愛い」「このファッションが可愛い」「こういう服を着てみたい」と思っていただくきっかけになるには、やっぱり着ている本人が可愛くないといけないと思っています。なので、専属になってからは、自分磨きや、自分がどう見られているかということをすごく気にするようになりました。

――北里さんにとって「いいお芝居」とは、どんなお芝居でしょうか?

北里:「誰かの心に残る、響くようなお芝居がしたい」とずっと思っています。私はこれまで、ドラマだったり、アニメだったり、映画だったりにすごく心を動かされて、影響されてきた人生を送ってきました。だからこそ、自分が観てきた作品からもらったものを、今度は誰かに届けられるようになりたい。誰かの心に残って、響くようなお芝居というのが、自分の中でも一番「いいお芝居」なのかなと思います。

「見た目の割に、すごい喋るんだね」――知られていない北里琉の素顔

――作品の中ではさまざまな人物を演じていますが、普段の北里さんはどんな性格だと言われることが多いですか?

北里:「見た目の割に、すごい喋るんだね」って、よく言われます(笑)。あまり喋らないと思われているみたいですけど、多分、『GTO』の現場では誰よりも喋っている自信があります(笑)。もともとは、あまり喋るほうではなかったんですけど、「喋ってくれる子っていいな」と思ったことがあって。自分もそうなりたいと思って、頑張って喋るようになって、今は普通に話せるようになったという感じですね。基本的に、自分が「こういう人が好きだな」と思う人になりたいんです。だから、そういう人を目指してきたことが、今の自分につながっているのかなと思います。

――今、仕事をする上で「これだけは大切にしたい」と思っていることはありますか?

北里:忘れたくないのは、やっぱり私が芸能界を目指したきっかけです。誰かに元気を与えることや、希望を与えられる人になりたくて、この世界を目指しました。だから、そこだけは絶対に忘れないように、自分が目指したきっかけを忘れないようにして仕事をしています。

――これから挑戦してみたい役柄やジャンルはありますか?

北里:キラキラの恋愛もののヒロインをやってみたいですね。今まで出ている作品、本当に全部、闇を抱えているので(笑)。闇をそろそろちょっと外してみたいなと思ったりします。明るい、気楽な役もやってみたいです。

――共演してみたい俳優さんや、一緒にお仕事をしてみたい方はいますか?

北里:岡崎紗絵さんと、もう一度共演させていただきたいです。私が初めてドラマに出演したのが、「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」第6話にゲストとして出演させていただいた時で、その時に岡崎さんと初めて一緒にお仕事をさせていただきました。あの頃から私自身も成長したと思うので、今は岡崎さんのことをただ「すごいな」と漠然と見るだけではなくて、今だからこそ学ばせていただけることもたくさんあると思っています。何より、すごく憧れていて大好きな先輩なので、成長した姿をちょっと見ていただきたいなと思っています。だから、いつかもう一度、岡崎さんとご一緒させていただきたいです。

――これから北里さんを知る方やファンの方に、今一番知ってほしい自分の魅力を教えてください。

北里:笑顔がすごく可愛いんですよ、私(笑)。普段は本当にずっと笑っているんです。でも、お芝居では笑うことが本当になくて、写真でも笑っていることがあまりないので、「この子、こんな顔して笑うんだ」、「こんな話するんだ」っていう部分を、もっともっと皆さんに知っていただけたらなと思っています。これまで影のある役が多かったからこそ、これから笑顔がはじけるような役を演じることができたら、今までとは違う私の魅力も、もっと知っていただけるんじゃないかなと思っています。

――最後に、これから北里さんを知る読者の皆さん、そして今後出会う作品や役柄を楽しみにしている皆さんへ、メッセージをお願いします。

北里:まだまだ成長途中ではあるんですけど、どのお仕事にも全力で、今の私が出せる最大限で向き合っています。少しでも皆さんの頭の片隅に残るようなお仕事をしていきたいです。そして、もしこれから私が有名になった時に、「あ、この子ってあの子だったんだ」と、ふと思い出していただけるような存在になりたいと思っています。ふとした瞬間に、少しでも皆さんの記憶に残れるように、これからも頑張っていきます。これからも見守っていただけたら嬉しいです。

〈取材・文/石原玄基〉

▽カンテレ「GTO」オフィシャルサイト
https://www.ktv.jp/gto2026/

PROFILE

北里 琉(きたざと・るう)

2009年7月30日生まれ、熊本県出身。A型。身長161cm。特技は弓道、趣味はアニメ鑑賞とゲーム。2023年、ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』第6話でゲスト出演。2025年には『僕達はまだその星の校則を知らない』で連続ドラマ初レギュラー出演を果たす。2026年は『エラー』『GTO』などに出演。モデルとしても活動し、2025年9月号からファッション誌『Ray』専属モデルを務める。

Instagram
北里琉 公式Instagram|@ruu_kitazato

Official
北里琉|T-TRIBE ENTERTAINMENT 公式プロフィール