ドラマ『幸せカナコの殺し屋生活2』、映画『うるわしの宵の月』と、話題作への出演が続く鈴川紗由。
既に配信された『幸せカナコの殺し屋生活2』では、鈴川は人の嘘を見抜く16歳の殺し屋・ユイ役で、初めて本格的なアクションに挑戦。クールで感情を表に出さないユイが、さまざまな大人との出会いを通して変化していく姿を演じた。
一方、10/23から公開の映画『うるわしの宵の月』では、鈴川は、恋バナが大好きな明るい女の子・日比谷寿役を演じた。主人公・宵(演:安斉星来)の恋を近くで見守り、背中を押す存在として、これまでとは異なる表情を見せている。
クールで感情を表に出さない役と、明るくキャピキャピした役。自身とは「真逆」と語る役柄に挑戦する中で、鈴川は何を感じ、何を学んだのか。
俳優を志すきっかけとなった水野美紀への憧れ、初めて「自分の芝居で人を笑わせる」ことができた転機、そしてこれから挑戦したい役柄まで。さまざまな出会いを糧に、表現の幅を広げ続ける鈴川紗由の現在地に迫った。



「自分とは真逆」だったユイ。表情と声で作り上げた16歳の殺し屋――初めてのアクションに挑んだ『幸せカナコの殺し屋生活2』
――出演が決まった瞬間のことを教えてください。
鈴川紗由(以下、鈴川):すごく嬉しかったんですけど、アクションは初挑戦だったので、嬉しさと同時に、不安も押し寄せてきましたし、「これから1〜2カ月、トレーニングが始まるんだ」と思って身が引き締まる思いでした。
――台本を読んだとき、ユイにはどんな印象を持ちましたか?
鈴川:最初は、クールで無表情で、一切笑わない女の子というイメージが強かったです。でも、後半になるにつれて、意外と感情が顔に出やすくて、子どもらしく、思ったことが素直に表情に出ちゃう部分が、増えていくんです。セリフが多い女の子ではないので、表情でコメディ感を出せたらいいなと思って向き合っていました。
――ご自身と似ている部分、逆に真逆だと感じる部分はありますか?
鈴川:結構、自分とは真逆だと思います。私はすごく顔に出やすいですし、人の嘘にもすぐ騙されちゃうので(笑)。英勉監督が冗談で嘘をついてきたりするんですけど、私はすぐ騙されちゃうんです。「え、本当ですか?」って(笑)。ユイとは違うところが多すぎて、似ているところはちょっと思いつかないくらいです。だからこそ、自分とはまったく違う役柄を演じられたことが、すごく楽しかったです。
――では、そんな自分とは真逆のユイを、どのように作っていったのでしょうか?
鈴川:まずは形から作っていって、ユイはすごく猫背なので、基本的に座っているシーンでもずっと背中を丸めて演じました。あとは声のトーンですね。私は普段、話していると声が上がってしまうことがあるんですけど、そこを抑えて、できるだけフラットに話すようにしていました。
――「人の嘘を見抜く」という能力を表現する上で、特に意識したことはありますか?
鈴川:動じていない感じというか、「何を考えているのかわからない」というミステリアスさを出したかったので、できるだけまばたきをしないように意識はしていました。
――また、一方で16歳という幼さを表現する必要もありますよね。
鈴川:監督から「こうしてみたら」と提案していただいたことなんですが、普段はほとんどまばたきをしないフラットな感じのユイが、驚いたときにパチパチとまばたきをする場面が何カ所かあるんです。初めて出会う大人に対して、「こんな人もいるんだ」と不意に動揺する感じを、まばたきで表現しました。そこで、ユイのあどけなさも出せたんじゃないかなと思います。
――監督からの言葉で、特に印象に残っているものはありますか?
鈴川:アクションについて「とにかく格好をつけてくれ」とずっと言われていました。ユイは子どもながらに天才的に強い子です。私は当初、アクションが得意ではなく、苦手意識もあったので、不安になってしまうこともありました。そんなとき、監督が「とにかく格好つけたら、かっこよくこちらが撮るから。格好つけてくれていたら大丈夫だよ」と言ってくださって。その言葉には、すごく背中を押してもらいました。
――『幸せカナコの殺し屋生活2』で、ユイのどんなところに注目してほしいですか?
鈴川:もちろん、かっこいいアクションには注目していただきたいです。でも、いろんな大人と出会う中で、少しずつ笑顔を見せることや、感情がむき出しになって、わーっと泣くシーンもあります。最初は無表情だったユイが、少しずつ感情を見せるようになっていく。その変化や、感情があふれる場面にも、ぜひ注目して見ていただけたら嬉しいです。
少女漫画の世界で見つけた新しい表現――映画『うるわしの宵の月』で広げた引き出し

©2026映画『うるわしの宵の月』製作委員会 ©やまもり三香/講談社

©2026映画『うるわしの宵の月』製作委員会 ©やまもり三香/講談社
――続いて、映画『うるわしの宵の月』について伺います。出演が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
鈴川:原作も読んでいたので、憧れていた少女漫画原作の映画に出演できることが、すごく嬉しかったです。それに、これまで明るい女の子の役をあまり演じたことがなかったので、そこもすごく楽しみでした。
――原作を読んだとき、作品全体にはどんな印象を持ちましたか?
鈴川:主人公の2人だけじゃなくて、周りの友達も本当にそれぞれ個性が強くて、性格もみんな違うんです。だからこそ、私もその友達の一人として、作品に新しい色をつけられたらいいなと思いました。
――鈴川さんが演じたのは、主人公・宵の友達・日比谷寿。どんな人物として捉えましたか?
鈴川:恋バナが大好きな女の子で、とにかく宵ちゃんの背中を押してあげる役割が強い子だと思いました。結構キャピキャピした役だったので、利根のばら役の星乃夢奈さんが普段からすごく明るくて、寿のイメージに近い感じだったんです。だから、夢奈ちゃんの仕草や手振りをちょっと参考にしてみたりして、いろいろ勉強させてもらいました。
――普段の自分とは違う部分も多かったですか?
そうですね。特に身振りや手振りがすごく多くて。普段の私はあまりそういうタイプではないので、そこはすごく苦戦しました。
――映画を見る方には、どんなところに注目してほしいですか?
鈴川:本当にキャピキャピしていて、恋バナが大好きな女の子なので、一番共感してもらえるキャラクターなんじゃないかなと思っています。琥珀と宵の恋を一番近くで見て、一番キュンキュンしている子なので、皆さんにも一緒に、二人の恋愛を楽しむような気持ちで見ていただけたら嬉しいです。
水野美紀への憧れから始まった俳優人生。「とりあえずやってみよう」がくれた転機
――ここからは、鈴川さんが俳優を志した原点について伺います。お芝居をやってみたいと思ったきっかけはありますか?
鈴川:水野美紀さんのお芝居を見たことがきっかけです。ちょうど同じ時期に、朝ドラの『スカーレット』と、すごくコメディ色の強い『浦安鉄筋家族』を見ていたんです。そこで水野さんがまったく違う役柄を演じていたんですけど、最初は同じ人だということに気づかなかったんです。役によって別人に見えることに、本当に電撃が走ったんです。「えっ、この人、同じ人なの?」って、すごく驚いたことを覚えています。役柄によってまったく違う人物に見えるってすごいなと思って、私も演じてみたいな、こんな俳優になりたいな、と思うようになりました。
――これまでの活動の中で、ターニングポイントになった経験はありますか?
鈴川:初めて声優をやらせていただいた映画『きみの色』です。それまでは、お芝居をしながら「これで合っているのかな」と、すごく頭で考えてしまう癖があって、とにかく自信がなかったんです。そんな中、全力の大声で歌いながらスキップするようなシーンがあったんですけど、監督が「とりあえず鈴川さんの思い通りにやってみて」と言ってくださりました。不安になりながらも、「とりあえずやってみよう」と思ってやってみたら、監督が大爆笑してくださったんです。声の収録に監督の笑い声が入ってしまったので、もう一度撮り直すことになったんですけど(笑)それが私としてはすごく嬉しくて、嬉しくて。自分の芝居で誰かを笑わせるというのが、初めての経験だったので、そこから、「失敗を考えすぎずに、とりあえずやってみよう」と思えるようになりました。
――『きみの色』は、お芝居に対する考え方そのものを変えた作品でもあるんですね。
鈴川:そうですね。監督が私の声を「唯一無二」と言ってくださったんです。自分の中では当たり前だと思っていた自分の声が、武器になるんだと気づかせてもらいました。声優としてはもちろんですが、俳優としてお芝居をする上でも、自分の声というものをこれからも大切にしていきたいと思うようになりました。
「私がこの役を演じる理由」を大切に。自分から生み出す芝居を――鈴川紗由が目指す、いい意味で期待を裏切ることができる女優
―――鈴川さんが、お芝居をする上で大切にしていることは何ですか?
鈴川:私が演じる上で大切にしているのは、「私がこの役を演じる理由」をちゃんと見せることです。ただ台本に書かれていることをやるだけではなくて、見ている方や監督に「そういうことするんだ」と驚いてもらえるような、自分から生み出すものを、もっと突き詰めていきたいと思っています。
――普段の鈴川さんは、どんな性格だと言われますか?
鈴川:第一印象では、「すごくふわふわしてるね」と言われることが多いです。でも、私自身は全然そんなふわふわしていないと思っていて(笑)。結構頑固だったりしますし、仲良くなると、ちょっと毒を吐いたりもします。だから、役者としても「いい子」ではなくて、「面白い」と思ってもらえるような、いい意味で期待を裏切ることができる人になりたいなと、最近思っています。
――これから挑戦してみたい役柄は?
鈴川:これまで結構、おとなしい役だったり、かわいそうな役が多かったので、反対に、いじめっ子の役とか、気の強い役をやりたいと思っています。あと、ずっと「血まみれになる作品に出てみたい」というのもあって(笑)。非日常というか、そういう刺激的な役柄にも挑戦してみたいです。
――一緒に作品を作ってみたい監督はいますか?
鈴川:福田雄一監督がすごく好きなので、福田監督の作品に出たいです。コメディ作品なので、福田監督の作品に出るためにも、台本に書かれていないことや、自分から生み出す力がすごく大切だと思っています。日々挑戦してアドリブなどができる応用力を身につけていきたいなと思います。
――最後に、これから鈴川さんを知る方、そしてすでに応援してくださっている皆さんへメッセージをお願いします。
鈴川:SNSなどで、毎日DMで応援してくださる方もいて、本当に皆さんからいただくパワーや応援のおかげで、「私も頑張ろう」「もっとお芝居と向き合おう」と思わせてもらっています。だからこそ、応援してくださる皆さんにちゃんと恩返しができるように、これからもたくさんの作品に出て、いろんな「鈴川紗由」を見せていけるように頑張りたいです。
〈取材・文/石原玄基〉
『幸せカナコの殺し屋生活2』
ブラック企業を辞めたカナコ(演:のん)が、転職先として選んだのはまさかの殺し屋会社。そこで殺しの才能を開花させ、伝説の殺し屋“K”として名を轟かせていく。シーズン2では、新たな殺し屋たちとの出会いや巨大組織との対峙を通して、カナコの前にさらなる波乱が待ち受ける。友情や裏切り、葛藤が入り乱れる、ド派手で予測不能なアクションコメディ
『うるわしの宵の月』
“王子”と呼ばれるほどの美貌を持つ女子高生・滝口宵(安斉星来)は、ある日、自分と同じく“王子”と呼ばれる一つ上の先輩・市村琥珀(道枝駿佑)と出会う。互いに「王子」と呼ばれる2人だったが、琥珀からまっすぐな言葉を投げかけられた宵は、次第に彼に惹かれていく。初めての本気の恋に戸惑いながらも、2人が少しずつ距離を縮めていく姿を描く、甘く切ないファーストラブストーリー。

Koichi Kinoshita
ROFILE
鈴川紗由(すずかわ・さゆ)
2005年12月27日生まれ、和歌山県出身。身長153cm。2020年、ユニバーサルミュージック女優オーディション「ニューヒロインオーディション」で特別賞を受賞。主な出演作に、アニメ映画『きみの色』、映画『遺書、公開。』、ドラマ『御上先生』、『幸せカナコの殺し屋生活2』、『修学旅行で仲良くないグループに入りました2』、映画『うるわしの宵の月』(10月23日公開)など。
鈴川紗由 公式プロフィール(ユニバーサルミュージックアーティスツ)
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